お嬢様はじめました。
そんな事を言われると勘違いしてしまいそうになる。


私の事好きって思ってくれてるんじゃ…とまでは流石に思わないけど、少しは気を許してくれてるのかな?とは思ってしまう。


玲にとっては何ら意味のない言葉だったとしても。



「で?」

「え?」

「質問の続き」



本当に聞いていいんだ…。



「仕事を始めたキッカケは何だったの?」



玲はコップのとってから手を離すと頬杖をついた。


そんなちょっとした仕草でドキッとする。


私だけじゃなく、ここにいる女の子たちみんなそうかもしれない。



「反抗期」

「……へ?」



反抗期??



「物心ついた頃には教育を受けてた。 それは俺に限った事じゃないけど、中学に上がる前にとうとう嫌気がさして馬鹿らしくなったんだ」

「教育?」

「鳳家の将来の為に、ってね」



あ、そっか!


玲のお父さんは鳳学園の理事長なんだもんね。



「大人になったら玲がお家を継ぐから?」

「知ってたんだ? そういう話は疎いんだと思ってた」

「あー…うん、まぁ、知ったのはつい最近」

「どう思った?」

「ビックリした」

「……それだけ?」

「そ、それだけ。 何で?」



首を傾げると玲は急に笑い出した。




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