お嬢様はじめました。
運転席との間にある仕切りを下げると、荒木さんが後ろに顔を向けた。



「お祖父ちゃん家にいます?」



家に帰る車の中で荒木さんに尋ねた。



「暫くはお仕事で海外にいらっしゃいます。 如何致しました?」

「いや、あの……」



どうしよう。


お祖父ちゃんいないのか…困った。



「葵お嬢様?」

「…今度学校で舞踏会があるらしいんですけど、私踊りとかできなくて…お祖父ちゃんに相談しようと思ってたんです」

「私で宜しければお相手させて頂きます」

「え!? 荒木さん踊れるんですか!?」

「私共執事はお仕えするために必要な事は一通り学んでおります」



荒木さんが踊ってるとことか想像できない。


それにしても執事って凄い。


知ってる人相手だと余計緊張しちゃいそう。


でもワガママ言ってる場合じゃないし…。



「宜しくお願いします」

「畏まりました。 では早速本日から練習を致しましょう」

「え!? 今日から!?」

「早いに越した事はありませんので」

「…………」



はい、仰る通りです。


テスト前よりも気が重い。





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