百人一首 いまむかし 〜一の巻〜
「ゲホッゲホッ」
ー深夜1時。
激しい咳に目が覚める。
「ふぅ。
もう…多分長くはないよね。」
子どものときから背負ってきた病。
もうすぐ消えてしまう命の灯火。
暗闇の中で1人、大好きなあの人のことを考える。
もし私が死んでしまったら、悲しいと泣いてくれるだろうか。
「…会いたいな。」
私はきっと朝まではもたない。
あぁ、せめて最後にあの人に会いたかったな…
私はいなくなるけれど、
どうか幸せにいて下さい。