冴えない彼は私の許婚
「おまたせして申し訳ありません。本日はどうぞ宜しくお願いします」とお祖母様があいさつをする。
すると家元は
「堅苦しい挨拶はやめよう。みっちゃんと私の仲だ、気楽に食事をしようじゃないか?」と言う。
みっちゃん…!?
お祖母様の名前は美津恵だが、まさかみっちゃんと呼ぶなんて…
どんな仲なのどろう?と思っていると、妹の朱音がプッっと吹き出した。
「朱音!」と私は妹を叱責する。
すると家元はにっこりと笑い「私達は幼馴染なんだよ」と答えてくれた。
へー幼馴染なんだ?
知らなかった。
「何を隠そう、私は、みっちゃんにプロポーズして振られた、哀れな男なんだよ?」と家元は笑って言う。
いや、それは隠しておいて良いから!
「眞之介!」
お祖母様は顔を赤くして、家元を呼び捨てにしたが、直ぐにいつものお祖母様に戻ってしまった。
「いえ、眞之介さん。
昔の事はもう忘れましょう?」と、魔女は微笑んだその時、いい具合に食事が運ばれて来た。
品の良い器に、美しく盛られたお料理に目を奪われる。