冴えない彼は私の許婚
お昼休憩になるとみんなは食堂に行くが、葉瀬さんはいつも開発部の自分の席でパンを食べている。
私は皆が居なくなった事を確認すると、葉瀬さんの側へと行く。
「葉瀬さん、相談があるんですけど…」
「なに?」
「私と許婚って知ってます?」
「うん」
え?
知ってるんだ?
「勝手に決められて困りますよね?」
「別に」
別にって…
「私は勝手に決められるのは嫌です!」
「そう」
そうって…
「私と許婚で良いんですか?」
「別に」
はぁ! 何が別にだ!?
あんたは良いかもしれないけど、私は嫌なの!
「あの…出来たら葉瀬さんの方から断ってもらえませんか?」
「なぜ?」
「なぜって…ちょっと事情があって、私の方からは断れないんです。だから、葉瀬さんの方から…」
「自分の事は自分でして」
「自分でって…」
自分でどうにか出来るなら頼んだりしないわよ!
ハァー…この人…話しにならない。