冴えない彼は私の許婚

ハアー…
今日は何度目だろう?
お祖母様を説得するなんて私には無理だよ…
どうしたらいいの…ハァー

「ぱい! 先輩!!」

気がつけば玲美ちゃんに呼ばれていた。

「え? 何?」

「さっきからリーダーが呼んでますよ!」

えっ? 九龍さんの方を見ると、こっちを怖い顔で見ている。

やばい…

「差咲良、忙しそうだな? 申し訳ないがちょっといいか?」

それ、思いっきり嫌味で言ってますよね?

「はい、すいません… 何でしょう?」

「来春の新色、一課としては差咲良ので行く事になった」

「本当ですか?!」

驚きと嬉しさで興奮してしまった。

「あぁ、それで早急に市場データとサンプルを用意してくれ。
来週の水曜日に社長同席のプレゼンに出す。
それで、差咲良はプレゼン初めてだよな?
葉瀬をフォローにつけるから、解らない事は葉瀬に聞いてくれ」

えー葉瀬さんに? 嘘でしょ…

だが、社会人たるもの、プライベートで何があろうと、ここ “ はい ” と返事するしかない。
九龍リーダーに返事をして自分の席へと戻った。

「先輩おめでとうございます。良かったですね?」

私のが選ばれたのは正直嬉しい。
でも葉瀬さん…か…

「有難う…」とお礼を言って、またハァーとため息をつく。

でも仕事は仕事、よし!





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