『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
「愛理、また良いように利用されてるじゃない!あれ程よーっく観察しとくよう言ったのに!」


夜の10時を過ぎてかけた電話に出たメグは、最初から少し不機嫌だった。
娘の葉留花ちゃんの夜泣きがひどくて、毎日イライラしてるせいもあった。


「暫く電話もこないから安心してたのに、何よそれ!認知症のおばあちゃんの面倒を見てるなんて、あり得ないしっ!」


とっとと別れてしまったら…?と簡単に言い切る。

そんなこと出来ない…と言うあたしに、メグは「お人好し過ぎる!」と一喝した。


「愛理、いい⁉よーく聞いて。あんたがお見合いして婚姻届まで書いた相手はね、有名なアンティークショップグループのご子息なのよ⁉︎
私、気になって彼のフェイスブックを調べたの。そしたら、なんとホントにセレブじゃん!
ビックリして、愛理が電話してきたらそのこと教えてあげようと思ってたところなのに、何よその生活ぶりは!
セレブはおばあちゃんの面倒を見る人も雇わないの⁉︎ 」


自分の婚約者に祖母の面倒を見せてるのが気に入らない…とメグは激怒する。
でも、あたしは寝耳に水なメグの情報を疑い、それが真実なのかどうかが知りたくなった。


「それってホントなの⁉︎ アンティークショップグループのご子息って、ホントにそうなの⁉︎ 」


確かに家具や食器、衣類に至るまでが全部ブランド品だな…とは思った。
高級過ぎるマンションも心地の良過ぎるベッドも一級品。

< 113 / 249 >

この作品をシェア

pagetop