『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
仁科の叔母が言ってた、『これ以上にない良縁』とも当てはまる。

だけど、それはあたしの理想とはかけ離れてる……。


想像とも、違い過ぎるーーーー。



「嘘だと思うならネットで調べてみたら?おばあちゃんの寝てる今なら、いくらでも調べられるでしょ!」


相手もいないなら好都合じゃない。とにかく自分の目で相手の素性を確かめてから届けを出しに行くのね!…と、相変わらずな毒舌ぶりを振りまいて電話は切れた。


あたしはおもむろに立ち上がって、久城さんが仕事で時々使うと言ってたパソコンの前に座った。
久城アンティークショップで検索すると、情報は列になって並びだした。


ーー店舗は首都圏や小京都を中心に展開されてるみたいだった。

創設者は彼のお祖父さんで、現在の代表取締役はいつもおばあちゃんの口に上る『仁』さんというご長男。

兄弟は全部で五人。

次男の『類(るい)』さんに、三男の『聖(ひじり)』さん、四番目の長女が『結華(ゆいか)』さんで、この人がいつもあたしの間違われる人。
そして、末っ子の四男が彼…『剛(たける)』さん。

それぞれに得意分野があるようで、剛さんは主に海外でのアンティーク商品の買い付けを得意としてるみたいだった。


「日本で過ごし始めたのは一年くらい前から…それまでは世界各国を飛び回って暮らしていた…」


プロフィール欄に書かれた文章を口にしてみた。


(ーー世界各国の人を相手に商売…?そんな凄い人だったの…⁉︎ )


< 114 / 249 >

この作品をシェア

pagetop