『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。

「三条様はどうなさいます？よろしかったら家に泊まられませんか？ゲストルームも空いておりますし、今ならお風呂も沸き立てですよ」


空港から電話が入り、久城さんが帰ってきたら直ぐ入れるようにと思って準備しておいた。
まさか女性を伴ってのご帰還とは、思ってもいなかった。


「きゃー嬉しい！紗奈お風呂入ってくる！剛さんは？」


「何がですか⁉︎ 」


ぶすくれた顔で、彼は彼女に言葉を返した。
お嬢様のような女性は悪戯っぽく笑い、彼にこう聞いた。


「ご一緒にいかが？きっと楽しくってよ？」

「…じょ…冗談じゃない！誰が……！」


顔を赤らめる彼を確認した。
何かを考えたんだな…と思い、ますます嫌になってしまった。




彼女からは、ますます冷めた目線で睨まれた。
突き刺さるような視線が恐ろしくて、とうとう他所を向いてしまった。


「じゃあ入ってきまーす！お先にねー剛さんっ！」



意気揚々と、お嬢様はバスルームへ消えていく。

苦虫を潰したような気分でいる俺に、彼女は冷えきった言葉を放った。


「…ご一緒してきたら？」


試すように伺ってる。
返事もしない俺に溜息をつき、小さな声で囁いた。



「……可愛らしい方ですね……久城さんにはお似合いです……」


何故そんなことを言ったのか、真意も確かめずに怒鳴っていた。



「冗談じゃない！誰があんなのと！」