『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
ビクッとなった彼女の様子に黙った。
言い訳したかったが、すでに遅かった。
彼女はパッと身を翻し、和室の襖に手を掛けた。
「あたし、おばあちゃんと寝ます。おやすみなさい…」
「……っ!」
パタン…と閉じられた襖は、何も聞きたくないという彼女の拒否を露わにしているみたいだった。
「くそっ…!」
何処までもついてないというのはこの事だ。
三条紗奈が俺に付いて来たのにはワケがある。
自分を迎えに来る予定だった車が空港に来ておらず、待つ事も嫌いな彼女は俺を迎えに来た中田の車に飛び乗った。
「降りて下さい!送りませんよ!」
三条家とは家が反対方向だ。
それでなくても一週間以上、祖母と彼女を二人きりにしたままでいる。
早く帰って様子が知りたい。
だから、どうにも迷惑だった。
「いいじゃなーい!久しぶりに剛さんのマンションに遊びに行きたいの!」
(遊園地か何処かと勘違いしてるんじゃないのか⁉︎ )
甘える声に辟易した。
そもそもお嬢様が遊びに来るような時間帯ではない。
こんな状況で連れ帰ったら、彼女にどんな勘違いをされるかも分からない。
…車内で散々説得した。
それでも、紗奈お嬢様は言うことを聞いてくれなかった。
これまでも商談の帰りに何度か部屋には寄っていた。元より俺なんかが目当てではない。目的は別の人物にある。
三男の『聖』
彼女のお目当ては奴だ。
言い訳したかったが、すでに遅かった。
彼女はパッと身を翻し、和室の襖に手を掛けた。
「あたし、おばあちゃんと寝ます。おやすみなさい…」
「……っ!」
パタン…と閉じられた襖は、何も聞きたくないという彼女の拒否を露わにしているみたいだった。
「くそっ…!」
何処までもついてないというのはこの事だ。
三条紗奈が俺に付いて来たのにはワケがある。
自分を迎えに来る予定だった車が空港に来ておらず、待つ事も嫌いな彼女は俺を迎えに来た中田の車に飛び乗った。
「降りて下さい!送りませんよ!」
三条家とは家が反対方向だ。
それでなくても一週間以上、祖母と彼女を二人きりにしたままでいる。
早く帰って様子が知りたい。
だから、どうにも迷惑だった。
「いいじゃなーい!久しぶりに剛さんのマンションに遊びに行きたいの!」
(遊園地か何処かと勘違いしてるんじゃないのか⁉︎ )
甘える声に辟易した。
そもそもお嬢様が遊びに来るような時間帯ではない。
こんな状況で連れ帰ったら、彼女にどんな勘違いをされるかも分からない。
…車内で散々説得した。
それでも、紗奈お嬢様は言うことを聞いてくれなかった。
これまでも商談の帰りに何度か部屋には寄っていた。元より俺なんかが目当てではない。目的は別の人物にある。
三男の『聖』
彼女のお目当ては奴だ。