『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
「…分かったわよ!帰ればいいんでしょう!」


怒ったように跳ね起きて、衣類を取りにバスルームへと逆走する。
やれやれ…と息を吐いて、俺は部屋の中へ視線を彷徨わせた。


一週間という時間の中で、何があったかも聞けなかった。

ドアを開けた瞬間、強張った彼女の表情に、かける言葉も見つからず拒否された。


こんな事なら、紗奈を先に家へ送れば良かった。
小1時間程度遅れてでも、こじれるよりはマシだった。




(後で様子を見に行くか…)



祖母のことも心配だった。
本来なら面倒を見るべきは自分たち孫で、彼女には何の関係もない。

薬の効果は出てきただろうか。
何かしらの良い影響が出てくれていれば有難いが……。



ーー直ぐにでも行動を起こさなかったのは失敗だった。

「お似合いです…」と囁いた彼女の言葉の真意を、もっと噛み砕いていれば良かった。


そうすればその後のことも、もっとすんなりクリア出来た筈だったのにーーーー。



< 131 / 249 >

この作品をシェア

pagetop