『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
運転手として働いてる中田さんも、彼のそんなところを目の当たりにしてるんだろうと思った。

ふ…と笑みを浮かべてしまうあたしに気を良くして、中田さんのお喋りは続いた。


「とにかく自信を持たれてて大丈夫です。あの人はご自分の確かな勘と目で物事を判別されます。
お仕事の面でもプライベートな面でも、その点は割とシビアなんです。だから……信じてあげて下さい」



話を聞きながら中田さんの自負に満ち溢れた横顔を眺めてた。

…何となくだけど気持ちが解れていく。

咲子さんといい中田さんといい、彼の周りには素敵な大人達が多い気がする。


同時に考えつくのは残り四人のご兄姉のこと。


一体、どんな人達なんだろうーーー。





「あの…」


口に出しそうになって止めた。
あたしの方をちら見した中田さんは、「何ですか?」と聞き返してくれたけど……


「…いえ、何でもありません……」


言葉を呑み込んだ。
中田さんに聞くのはおかしい気がする。

久城さんの家族のことは、彼に尋ねるのが一番だと思う。

確執や仲違いがあったにしても、今のおばあちゃんの状況を知る限り、いずれご兄弟全員が力を出し合わないといけない時は必ずくる。


その時まで咲子さんをアテにしてたら、いつか彼女までが疲れきってしまう。


…自分と同じような目には遭わせたくない。


本人も家族も一緒になって、一番いい方法について話し合ってもらわないとーーー。



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