『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。

「お人好し過ぎ！やめた方がいいって！」


メグはあたしの話を聞いて、開口一番にそう怒鳴った。


「久城さんとこから帰った日、愛理私になんて言ったか覚えてる？間違いだった…って泣きながら言ったんだよ⁉
『ゆる彼』なんて、やっぱいるワケないって…！
なのに、どうして今また首を突っ込もうとしてるの⁉ 愛理はもう関係ない人間でしょ⁉」


相変わらず時間関係なく電話してきたと思ったら何それ⁉ 一体なに考えてんの！…と、猛烈な毒舌ぶりを発揮された。


メグの心配はよく分かる。
あたしはこれまで何度となく、不様な恋愛経験をしてきてるから…。


「関係ない人間かもしれないけど、見過ごしてはおけないの。今はまだ軽い介助さえあれば、おばあちゃんは自立で生活できる。
でも、これから先はどんな形で手が掛かるようになるかは分からない。病の進行次第では、どんな症状を発症するか予測は不可能だから…」


様々な人と触れ合ってきた。
最後までその人らしい方もいたけど、中には全く性格が変わってしまった方もいた。


「…おばあちゃんがお元気でご自分のことができるうちに、家族の中に沢山のいい思い出を作って差し上げたいの。
子育てを懸命に頑張ってこられたおばあちゃんだからこそ、皆が愛情を注げるようになってもらいたい。
おばあちゃんは今もまだ、皆が幼かった頃の記憶の中に住んでる。それを目の当たりにして、感謝も何も感じない人達だなんて思いたくない！
あたしの好きになった人の家族も彼も皆……ただ信じたいだけなの……！」