『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
ホントは冷たい物よりもあったかい物が有難いけど受け取る。
国産のサイダー缶はすごく冷えてて、持ってる手が直ぐに冷たくなった。


プシュッ!と音を立ててプルタブを押し込む。
一口飲んだ端から、すぅーと喉が潤った。



「…美味しい…!」


夏に飲む物と同じものよね…と思いながら缶を見る。
高原の天然水使用…と書かれてある印刷面は、毎度お馴染みな気がする。


彼の部屋で飲んでるから特別な味がするんだろうか。
それともこれはやはり特別製のサイダーとか?


「美味いよね、このサイダーって。昔から味変わらなくて…」


ゴクゴクと飲み込んでた人が息を吐いて話した。
やはりお馴染みのものだったのか…と思いながら、落ち着きなく部屋の中を見渡す。


床に散らばってるCDは全部、外国のアーティストの作品だった。


よく見たらDVDもほぼ外国映画。
日本語吹き替えなんかじゃない、英語版だ…。



(そうだよね…外国生活が長い人だったんだから…)


今でも月の三分の一は海外への買い付けや顧客管理に回ってるとネットのプロフィール欄に書かれてあった。
その情報が正しければ、これから先もそういう生活が続くってことでーーー。



…しみじみ、住む世界が違う人なんだな…と実感した。
だからと言って、今更嫌いにもなれない自分だけど。



「何か聞く?」


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