『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
諦めるように話す彼に謝りながら起き上がった。


それからおばあちゃんが今持ってる記憶の全てと残ってる身体的機能の話をした。
これから起こるであろう変化とご家族の対応の仕方についても説明して、その上でお願いをしてみた。


「あたしは職場で、多くの利用者を誰かと一緒に見るからこそ気が紛れることもあったけど、家庭では基本マンツーマンです。
それが一番の落とし穴にも繋がり易いので、避けていきたい要因の一つではあります。
だから公的サービスの活用も視野に入れて、話し合って頂きたいんですけど……」


長々と説明してしまったせいだろうか、タケルさんの眉間にシワが寄ってる。
話しながら飲んでたサイダーの缶は空っぽ。

時間は一体何時だろうか。
剛さんの仕事は何時からなんだろう…。


「分かった。とにかく一度皆に集まるよう声をかける。それぞれバラバラな場所で仕事はしてるけど、会社組織としては一つなんだからメール一本で会話は十分可能だ。
今言われた事も踏まえて兄貴たちを脅すよ。そうでもしないと集まらないような奴等だから」



一体どんな人達なんだ…と不安を感じる。
会う前から余計な先入観は持たないでおこうと決め、次のお願いをした。


「あの……プレゼンに際しては咲子さんにもご協力を仰ぎたいんです。それから、おばあちゃん自身にも…」


「ばあちゃんにも…?」


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