『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
夜勤を終えて家に帰ると、剛さんから連絡が入った。


『今度の土曜日午後11時に本宅に全員集まるようメールを送った。ばあちゃんのことで大事な話がある…と言ったら、皆渋々OKしたよ。心の準備は大丈夫?覚悟しといて。俺の兄姉達は、君が思う以上に曲者揃いだから…』


ゴクン…と唾を呑み込む。

見たこともないお金持ちのご子息やご令嬢との対面をひしひしと肌で感じた。


『それから…体の方は平気?昨夜かなりフラついてたけど……』


メールの文字に赤面した。
一晩中どこで夜を明かしたのか…としつこく母に聞かれ、適当な嘘をついて上がってきたところだった。


《大丈夫です。夜勤中は眠気との戦いだったけど、十分に癒してもらえたので頑張れました…》



照れ笑いの顔文字を加えて送信した。

今朝、施設で会った武内は殴られた腹いせもあってか、あたしの顔を見ても全くの知らん顔だった。


ホッとしながら職場を出る際、通用口で病院へ寄ってから出勤してきた係長と鉢合わせた。



「如何ですか?体調の方は?」


胃潰瘍を起こして入院してた期間は短い。治りきってもいない様子でいたから心配だった。


「平気よ。私はこんなだけど、神経は図太い方なの。潰瘍も治りつつあるし、気にしないで」


笑いかける係長にホッとして「お疲れ様でした…」と頭を下げた。

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