『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
「お話を始める前に伺います。皆さんは『認知症』という言葉はご存知ですか?どういった病か、詳しく知ってらっしゃる方はおられます?」


「…いねーよ」


開口一番、答えてくれたのは聖さんだった。
名前くらいなら知ってる…と他の方達も言う。


そんなもんだよね…と思いながら手作りの冊子を渡した。
認知症について、軽く解説した内容を表紙にした。


「私は、高齢者施設でケアマネージャーとして働いてます。仕事柄多くの方々と触れ合う機会があり、そのお陰で皆さんのお祖母様に会った時、直ぐに認知症だな…と気づきました。
…剛さんに伺ってみたら病院へも通わず、薬も服用されていないとのことでしたので、すぐに受診を勧めさせて頂きました。
アルツハイマー型という認知症には、現在いろんな新薬が使われています。それらは病気の進行を遅らせるのに有効で、今のお祖母様の状態を少しでも長く保って頂けるのではないか…と思ったからです…」


認知症の進行状況、BPSDと言われる行動症状についてまとめたページを見てもらった。
各自で目を通して貰いながら、あたしはおばあちゃんの現状を説明した。


「お祖母様は現在、ちょっとしたお手伝いがあれば自立した生活が送れます。物忘れはあるにしろ、大きな問題は見受けられません。
けれど、居場所が落ち着かないせいで夜が良く眠れてないように思いました。浅い眠りを繰り返されては起きる。起きたら直ぐにお食事を作られる。…それが習慣のようでした…」

< 223 / 249 >

この作品をシェア

pagetop