『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
「ほらね！」


あたしの言葉に、結華さんが叫んだ。


「言った通りでしょう⁉︎ おばあちゃんは料理をすぐに作りたがるの！しかも量がハンパなく多いのよ！一体誰が食べるのってくらい大量で、うんざりするんだからっ！」


貴女もそうだったでしょ？と同意を求められた。
頷くのもいけない気がしたけど、「まぁ、そうですね…」と納得した。


「…でも、それはお祖母様の記憶の断片がそうさせてるんだと後から気づきました。
あの方は今でも、皆さんが子供のままだと思い込んでる。育ち盛りだった頃の記憶が、一番鮮明に残ってるんです」


呆れた顔をする仁さんや類さん、三男の聖さんに至っては祈りのポーズまで捧げる。
結華さんはプンプンと怒ってそうだし、現在その行動をあからさまに目にする剛さんは、苦痛そうな表情を浮かべた。


「あたしは、お祖母様にお付き合いするうちに思ったんです。
この方の生活を支援してくれる方がいらっしゃれば、まだご自宅での生活が十分可能なんじゃないだろうかって。
皆さんのうちのどなたかが、お祖母様と一緒にお住まいになっては下さらないか…と」



「冗談じゃないですよ！」


痺れを切らすように仁さんが口火を切った。


「貴女は何の権利があってこの家のことに口を出すんです！剛の恋人なら恋人らしく、それに徹しておけばいい！下手にあれこれ言われても迷惑なだけで、こっちは困る！」


理路整然と意見を並べ立てる仁さんを類さんも応援する。
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