『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
…皆さんは、ご自分の両親が亡くなった時に、おばあちゃんから育ててもらったんですよね⁉︎
自分達は育ててもらったのに、おばあちゃんのことは他人に任すの⁉︎
…そんなの変だと思いませんか⁉︎ おかしいですよ！五人もいい大人がいるのに…！」



敬語なんて、すっ飛んでしまった。
あたしは自分がまた悪い癖を出してるとは思わずに話し込んでいた。


「咲子さんにお世話を頼むのは間違ってます。毎日日替わりでもいいからこの家に通って来て、皆さんがおばあちゃんの相手をしてあげればいい。
そんなに長い時間じゃないと思います。苦しくて大変な時間は、過ぎてしまえばきっといい思い出になります。
お金や物よりも大切なものになる。だってそれを今、おばあちゃんはあたし達に教えてくれようとしてるから…」




ーーコンコン！とノックする音が聞こえた。
用意ができた…と知ったあたしは、そのタイミングの良さに驚いた。


「お食事の用意が整いました。皆さん食堂の方へどうぞ」


咲子さんが顔を出して告げる。
「食べる気分じゃないわよ…」と呟く結華さん達を伴って、キッチンの隣にある食堂へと集まった。



「本日のメニューは、皆さんそれぞれ違います。＿＿＿仁様…」


スプーンを添えて、咲子さんが仁さんのところへ向かった。
あたしは持ってきたエプロンを身に付け、料理を運ぶのを手伝った。


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