『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
このままずっと此処にいて、彼を慰め続けてあげたいけどーー。


…それではやはり困る。

あたしを…助けて欲しい。

カンファレンスは、まだ終わってないからーー。



「おばあちゃんと咲子さんから、剛さんを『連れてきて欲しい』と頼まれました。一緒に行ってもらえませんか?あたしを援護して欲しいんです。
このままだとあたし、二度と此処へは来れなくなる。そんなの嫌です。あたしは……」


抱いてた腕を緩めた。
彼の顔がこっちを見る。
大好きな人の顔を眺めて、にこっと笑って言った。



「あたしは…剛さんと一緒にここに住みたいの。おばあちゃんが一緒なら尚いいけど、何よりも剛さんがいないとダメ。
…お願いします。あたしとここに住んで下さい。辛い思い出が残ってても、いい思い出も増やしていけると思うんです。
一緒に居れば、きっと楽しくなると思います。笑っていられると思うんです」


お見合いの時みたいに、和気あいあいでいられそうな気がするの。
誰もが羨むような、そんな関係になれそうな気がする。

例えばおばあちゃんの介護が難しくなったとしても、あたしには自分を癒してくれる人がいると思うだけで頑張れる。

お互いに頼り合って生きていきたい。
皆で幸せになれるよう努力したい。
一歩ずつでいいから近寄りたい。

夢みたいな世界に住む『ユメ彼』にーーー。



< 240 / 249 >

この作品をシェア

pagetop