『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。

パァッと明るい顔を見せて、うんうん！と頷く。
その咲子さんの様子を見て、姉の結華がつまらなそうに言った。


「あーあ、独身が一人減って寂しいわぁ。残りは聖と私だけなんてね。……おばあちゃんには孫じゃないと思われるし、何かとショックだわぁ…」



精々嫌われない様に頼むわ…と、裏腹な言葉を吐かれた。

驚く彼女に向かって、聖が言った。


「剛は頑固で面倒くさいよ？もしかしたら、ばあちゃんよりも厄介かもしれないけどいいの？」

「お前ほどじゃないだろう」


類兄が茶々を入れる。

皆の声を聞き、上座に座ってた仁兄が立ち上がった。


「……剛が一緒に暮らすと言うなら、任せてやってもいいが……」


緊張した眼差しを送りながら、彼女がきゅっと唇を噛んだ。


「貴女のご両親はそれでいいと思われるんですか？認知症の年寄りが一緒に同居するワケあり婚なんて、普通は賛成しないと思いますけど…」


当然の心配をされて、彼女はニコッと微笑んだ。