『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
「それで…?」


電話口の向こうで、メグはまたしても不機嫌だった。
ようやく葉留花ちゃんが眠ったのに、あたしがグチグチ…と言葉を連ねたからだ。


「せっかく一緒に暮らしだしたのに、初日から一人なんてあんまりじゃない⁉︎ 聞けば来週もまた一人なんだよ⁉︎
しかも一週間!最初からそうなるのが分かってるなら先に言ってくれないと困るでしょ⁉︎ こっちにも心構えってものがいると言うのに…」


ご両親が亡くなってることも初めて聞いた。
ご兄弟が四人もいる筈なのに、まだ誰とも会ったことが無い。
そもそも『ゆる彼』と会ったのも今日で三度目。ゆっくり話をしてる暇もないのよ…と、留まることの無い愚痴を聞かせた。


「こんなので結婚したって言える⁉︎ 結婚生活って…こんなもの…?」


素朴な疑問ぶちまける。

「そんな事ある訳ないでしょう!」と大いに怒鳴って、メグはあたしを叱りつけた。


「だから、やっぱり騙されてるんじゃないの⁉︎ その久城さんて人、絶対怪し過ぎるよ!
そもそもその住んでるマンション、お家賃幾らなのよ!
働かなくてもいいと思える程の年収だとしても、月収に換算すると意外に少ない時もあるよ⁉︎
しかも何⁉︎ ハウスキーピングを週一で利用⁉︎ あり得ない!それ絶対変だからっ!!」

ハァハァ、ゼェゼェと息巻いて、挙げ句にメグはこう断言した。


「結婚詐欺!それ以外は考えられないっ!!」


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