『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
ーー考えてみたらあたしは、今日がこの人とは初めてだ。
結婚すると決めたのだから躊躇う理由は何もないけど、やはり緊張するのは変わらない。
責任は負いたいと思う。
でも、シャワーくらい浴びさせてーーー!
「あ、あの……久城さん…!」
苗字呼びするあたしも久城になるんだ…と思い出した。すぐ目の前で止まった彼の顔を眺めて頬を引きつらす。
クッ…と小さな笑い声を立てた彼が、「もう駄目だ…!」と言って笑いだした。
「ごめっ…!もう可笑しくて…!」
体を離して笑い転げてる。
いったい何があったのか分からないあたしは、彼が笑い続ける様子を呆然と見つめていた。
「あ…愛理さんさ、昨夜、寝言言ってたんだよ。『本当にウソみたいに良く眠れてー』とか、いろいろ。どう見ても眠ってるみたいなのに、夢の中では起きてるんだ…と思ったら可笑しくて…」
通販番組の夢を見てたんです…とはとても言えない。
そもそも夢だと思ってた笑い声の主は、この人だったのか…。
「か、快眠枕を買った夢を見てたんです…」
その場しのぎな嘘をついて、すぐに話題を逸らした。
「このベッドが気持ち良すぎて、つい変な夢見てしまって…」
準夜勤務の後で家に帰っても、いつも直ぐには眠れなかった。ぼんやりと途方に暮れながら見ていた通販番組は、眠りを誘うのには持ってこいだった。
「広いし、マットレスの硬さも丁度いいし、何よりこのお布団がフカフカで…」
結婚すると決めたのだから躊躇う理由は何もないけど、やはり緊張するのは変わらない。
責任は負いたいと思う。
でも、シャワーくらい浴びさせてーーー!
「あ、あの……久城さん…!」
苗字呼びするあたしも久城になるんだ…と思い出した。すぐ目の前で止まった彼の顔を眺めて頬を引きつらす。
クッ…と小さな笑い声を立てた彼が、「もう駄目だ…!」と言って笑いだした。
「ごめっ…!もう可笑しくて…!」
体を離して笑い転げてる。
いったい何があったのか分からないあたしは、彼が笑い続ける様子を呆然と見つめていた。
「あ…愛理さんさ、昨夜、寝言言ってたんだよ。『本当にウソみたいに良く眠れてー』とか、いろいろ。どう見ても眠ってるみたいなのに、夢の中では起きてるんだ…と思ったら可笑しくて…」
通販番組の夢を見てたんです…とはとても言えない。
そもそも夢だと思ってた笑い声の主は、この人だったのか…。
「か、快眠枕を買った夢を見てたんです…」
その場しのぎな嘘をついて、すぐに話題を逸らした。
「このベッドが気持ち良すぎて、つい変な夢見てしまって…」
準夜勤務の後で家に帰っても、いつも直ぐには眠れなかった。ぼんやりと途方に暮れながら見ていた通販番組は、眠りを誘うのには持ってこいだった。
「広いし、マットレスの硬さも丁度いいし、何よりこのお布団がフカフカで…」