『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
フェザー100%のような肌触りの羽毛布団を手にした。
これまで自分が使ってたベッドは、まるで かまぼこ板か何かってくらいの感じがしていた。



「…ふぅん、よく眠れたんだ。…寂しくなかった?」


笑いの止まった『ゆる彼』が再び近付いてくる。
その彼を受け止めて、「ううん…」と強がった。


重ねられた唇の隙間から、ねっとりとした舌が差し込まれた。
舌の上を軽く舐められ、口の中全体をかき回される。



「あっ……」



胸に這わされた指にビクついた。
口から離れた舌が耳元を辿って下へ行く。
鎖骨を通った瞬間、軽く噛まれ、ビリッと電気が走るような感覚に襲われた。



「やっ……あの……待っ……」


止まらない唇の移動に、心臓が大きな音を立てる。
耳鳴りのように響く心音が怖くなって、ぎゅっと彼の肩を握った。


「や、やだ……待って……!」


泣き出しそうになって叫んだ。

驚いた彼が動きを止めて、身を離して聞いた。


「どうかした?」

「あ…あの……あまりに急過ぎて……ちょっと、ビックリして……」


婚姻届はまだ出されてない。
久城さんのお休みの日に、二人で出しに行こうね…と決めたから。


だから、まだ他人と同じ。
だから、やっぱり躊躇する…。



「抱きついてきたから、てっきり誘われてるのかと思ったんだけど……」


男性の本能だから仕方ない。それを確かに受け止めようと最初はした。
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