『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
でも、やはりまだ何も知らない相手に等しい。

深い関係になるには、いくら何でも早過ぎる気がするーーー。



「ご、ごめんなさい…あたし…妄想が炸裂…いえ、感情が先走ると、どうもおかしな行動に出る癖があって……」


お見合いの時と同じ。
だから、最初にごめんなさいと謝った。
不快な思いをさせてしまったら、元も子もないと思ったから…。


「く、久城さんが嫌だとか、そんなのじゃないんです。あたしはただ、驚いて……」


ダラダラ…と言い訳をしてないで、さっさと彼の行為に甘えちゃいなさいよ…と心が言う。
だけど、あたしの体は震えてて、少しだけ怖さも感じていた…。



「すみません…本当にごめんなさい！今はまだ待って下さい！この通りっ！」


パンッ！と柏手のように掌を合わせて頭を下げる。
大袈裟だな…と呟く声が聞こえ、両手首を握られた。


「今だけだよ。次はしないからね」


少しむっとしながら囁く彼にコクコク…と小刻みに頭を振った。
スルリとベッドから抜け出す彼が、そのままの格好で歩き出す。部屋から出て向かう先は、どうやらお風呂みたいだった。


「一緒に入ろうか？」


振り向かれて誘われた。
裸の付き合いしよう…と言う彼に、丁重な言葉で断った。


「冗談！」


笑いながら去っていく。やっぱりあたしよりも、『ゆる彼』の方が上手な気がする。

さっきからずっとペースを崩されてる。いや、あたしも十分崩してるんだけど…。


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