『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
脇から顔を出してきた人を目にして点になった。
シルバーグレーヘアの女性は、髪と同じくらいに白く濁った眼球をしている。
所々縮れた髪の毛は傷んでて、それを丸めて何とか頭の上にのせていた。
鼻先の丸い所が彼に似ている。だから、すぐに肉親だな…というのは分かったけど……。
「あ…あの、この人は一体誰ですか?……」
一応確認のつもりで聞いた。
両手いっぱいの荷物と共に玄関に入ってきた久城さんは、はぁーっ…と深い溜息をついてこう言った。
「俺の祖母。…って言うか、俺たち兄弟の親代わり。ちょっとワケありで……今はゆっくり話してられないんだけど、暫く同居することになったからよろしく。
…あっ!ばあちゃん朝ご飯済んでるって。本人が「まだだ」と言っても食べさせなくていいよ。じゃあ悪いけど後は頼むね。今夜はなるべく早く帰るからっ!」
ポンポン…と言いたいことだけ言うと、久城さんはさっさと玄関ドアを開けて出て行った。
後に残された老女とあたしは、パタン…と閉まるドアを前に立ち竦んだ。
お互いに顔を見合わせて、パチパチと瞬きを繰り返す。
「あの…」
声をかけようとしたあたしをほぼ無視して、おばあちゃんだと紹介された老女は上がり込んだ。
スリッパも何も履かずに奥の部屋へと進む人の後ろを、あたしは慌てて追いかけて行ったーーー。
シルバーグレーヘアの女性は、髪と同じくらいに白く濁った眼球をしている。
所々縮れた髪の毛は傷んでて、それを丸めて何とか頭の上にのせていた。
鼻先の丸い所が彼に似ている。だから、すぐに肉親だな…というのは分かったけど……。
「あ…あの、この人は一体誰ですか?……」
一応確認のつもりで聞いた。
両手いっぱいの荷物と共に玄関に入ってきた久城さんは、はぁーっ…と深い溜息をついてこう言った。
「俺の祖母。…って言うか、俺たち兄弟の親代わり。ちょっとワケありで……今はゆっくり話してられないんだけど、暫く同居することになったからよろしく。
…あっ!ばあちゃん朝ご飯済んでるって。本人が「まだだ」と言っても食べさせなくていいよ。じゃあ悪いけど後は頼むね。今夜はなるべく早く帰るからっ!」
ポンポン…と言いたいことだけ言うと、久城さんはさっさと玄関ドアを開けて出て行った。
後に残された老女とあたしは、パタン…と閉まるドアを前に立ち竦んだ。
お互いに顔を見合わせて、パチパチと瞬きを繰り返す。
「あの…」
声をかけようとしたあたしをほぼ無視して、おばあちゃんだと紹介された老女は上がり込んだ。
スリッパも何も履かずに奥の部屋へと進む人の後ろを、あたしは慌てて追いかけて行ったーーー。