『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
長男始め、三男までの男たちの顔が思い浮かんだ。
どいつこいつも金儲けの才能はあっても、人としてはどうか…と思う様な奴等ばかりだ。

順番にばあちゃんの面倒を見ようと言い出したのも、姉の結華にばあちゃんの面倒を任せてたのも、きっと奴等が絡んでるに違いない。


「私もうウンザリ!おばあちゃんったら同じ話を何度も繰り返すのよ⁉︎
食べても食べても、「ご飯まだ食べてない!」とか言い出すし。呆れて無視してたら、今度はお隣の人にまでそれを言いふらすの!
…お陰で私は悪者よ⁉︎ きちんと食べさせてるのに、なんでそんなこと言われなきゃならないのよ!
兄さん達に相談しても知らん顔だし、私の味方は剛、あんただけよ!!」


だからお願い…って、おいっ、ふざけんな!


「そんなの急に言われても困るよ!こっちにだって都合ってもんがあるしっ、第一、俺……」


嫁もらったばかりなんだよ…と言う言葉は、結華の怒鳴り声によってかき消された。



『おばあちゃんっ!!ご飯はさっき食べたって言ったでしょ!!!』


弱々しく聞こえる祖母の声に耳を澄ます余裕も与えず、結華は俺に「分かった⁉︎ 」と声を張り上げた。


「とにかく今度は剛が面倒見てっ!私はもう懲り懲りっ!暫くおばあちゃんの顔なんか見たくもないっ!!」


怒り狂ったような顔をしているのは、容易に想像できる。
電話口の向こうから聞こえる荒々しい呼吸に、少し冷静になれよ…と言おうとしたが………


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