『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
(彼女がやってくれたのか…?)


小綺麗にされた顔を見ながら、昼間、結華にかけた電話の内容を思い出した。


結華が言うには、ばあちゃんは食べたり飲んだりは自分で出来る…とのことだった。


「食事を作ることも出来るし、手順も間違ったりしないのに、片付けだけはまるでダメ。何度教えても出来なかった。
物と名前が一致しなくて、それを注意すると怒り出す。
一旦怒り出すと、気が変わるまでは手が付けられなくて、ブツブツ…と独り言を言ったり、ソワソワと歩き回ったりする。
トイレも間に合ったり間に合わなかったりするから、家ではずっとリハビリパンツだったわ…」


散々な日常を聞かされ、げっそりとする気持ちが生まれた。


「とにかくヘソを曲げないことね。曲げると大変なのよ。言うこと聞かなくなるし、直ぐに『帰る!』と騒ぎだすし…」


今朝の車内での様子みたいなことを言うのだな…と、うんうん…と頷いた。


「それから、一番厄介なのはお風呂に入れること!おばあちゃん、お風呂嫌いだったかしら…とこっちが迷うくらい拒否するの!
3日入らないとかザラだったわよ⁉︎ お陰で着替えもままならなかったんだから!」


それであの有様だったのか…と、今朝見た祖母の風貌ぶりを納得した。


「彼女にもその点だけは注意するよう伝えといた方がいいと思う。私達のおばあちゃんを変に誤解して欲しくないけど、きっとスッゴク苦労すると思うから…」


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