『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
「施設で働いてたことを内緒にしてんのか?あれ程大きな態度でいたくせに、その小心者ぶりは何だよ!わざわざここで内緒にしなくても、いずれバレることだろう?」


「…ほっといて!あなたには関係ないでしょ!あたしはもう施設を辞めてるんだから、勤めてた頃のことなんて話されても困るのっ!絶対に言わないでっ!!言ったら承知しないからっ!!!」


怒鳴り声に近くなり、少し気持ちを静めなきゃ…と声の調子を抑えた。


「……注意事項って何よ」


武内は「そうだったな…」と笑い、アルツハイマーに関する資料を見せた。


「今更、お前に詳しく説明なんかする必要もないな?施設でそういう奴らを相手にしてたことは俺が一番よく知ってるんだ。自分がやってた事をしなければいい。
言葉で脅したり、怖がらせたりしない。優しく、受容する態度で接する。簡単だろう…?」


完全に皮肉だ…と思った。

ここでこの人に出会ったのはやはり罰。

あたしが今までしてきた事の全てを彼は見てる。

だって、この人はーーーー






(……同じ職場で働いてたんだもん……)





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