〔B L〕朽ちた無花果

「僕は、貴方を救うために来ました。」

「別にどこも悪くない!
だから消えてよ!!」

落ち着け、落ち着け…
僕が彼女を怖がれば、彼女も僕を怖がる。

そう言い聞かせて、僕はゆっくりと彼女の方へ向かって歩いた。

そうして、3mほどの距離で止まる。

「そうはいきません。
僕は、心の医者ですから。」

「心の医者…?
精神科医ってこと?
なおさら必要ない!
…後ろのガキは誰?さっさといなくなれっていってんじゃない!!」

「…俺はこの人の患者だ。」

「なにか、あったんですか。
僕でよければ、聞きましょうか?」

「なにもない!
なにも…ないの…!」

…稀にあるケースだ。
心が不安で満たされすぎると、自分の好きなアイドルや歌手を見ても心が癒されず、逆にどうして自分を見てくれないのか、と思うようになる。

「なにもないなら、作りましょう。
貴女は何がしたいですか?」

「あたしは…あたしはマヤと付き合いたい!
マヤを、あたしだけのモノにしたい…!」

それは僕には叶えられないな…。
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