〔B L〕朽ちた無花果

「すみません、それは僕には叶えられない。

でも、話くらいなら聞けます。
僕に、貴女の心を診せてくれませんか?」

「うるさいうるさいうるさい…!
あたしは…あたしはどうせ何やっても駄目なんだ!

だから、マヤだってあたしに気付かない…」

「…そんなことありません。
その手に握ったものを床に置いて。」

「どうして!?」

「そうしないと、マヤさんが貴女を慰められないでしょう?」

「え…」

「そうですよね、マヤさん?
マヤさん、貴女を抱き締めて慰めてくれるそうですよ。

本当は皆のアイドルなのに、今は貴女だけのアイドルになってくれる。

これ以上の幸せがあるんでしょうか?

貴女は幸せ者です。
だから、自分が不幸なんて思わないでください。

皆からうらやましがられる、素敵な女性なんだから。」

マヤさん、抱きしめてあげてください…。
ここは空気を読んで…!

「…苦しみに気付いてあげられなくてごめん。
もう、悩まないで。」

そう言って女の人を抱き締めるマヤさん。
よかった…。

あとで、謝らなきゃ。
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