〔B L〕朽ちた無花果
____その後、女の人は気持ちが落ち着いたようで、警察と一緒にパトカーに乗っていった。
「ありがとうございました、貴方のおかけで助かりました…!」
「いえいえ、こちらこそすみませんでした。
マヤさんにあんなことをさせてしまって。
正直、マヤさんが空気を読んでくれなかったらどうなっていたか。」
「いえ、あれは本心ですから。」
マヤさんはにっこり笑ってそう言った。
近くで見ると、綺麗な黒髪だな…
「…嘘だね。
アンタは本心なんか誰にも見せた事ない。」
「…なにを言ってるのかな?」
「すみません、僕の友達なんです。」
「ともだち…
つーか患者だけどな。」
「なるほど、心の病か。
君、早く良くなるといいね。」
そう言ってマヤさんが佐那斗君と握手しようとすると、佐那斗君はその手を叩いてしまった。
「気易く触るな、嘘つき。」
「…っ、この子、相当精神が病んでいるようだね。」
「アンタよかマシだね。
仕事でこびりついた嘘、洗い流したいならこのセンセーんとこ来なよ。
この人、バカがつくほど正直だから。
アンタと違ってね。」
またそんなトゲのある言い方を…。
そんなことを思っていると、佐那斗君はマヤさんに、何かを渡した。