〔B L〕朽ちた無花果
「それ、この人の名刺。
それじゃ、俺達はこれで。」
「えっえっ?
今渡した名刺って僕の!?
ちょっと佐那斗君、いつの間に僕の名刺を…!」
「いーじゃん別に。
今日はとんでもない日だったから、ついでに営業したって罰はあたらねぇだろ。
助けてやったんだ、アンタが報酬をもらうのは当然だと思うがな。」
と、とりあえずここは…
「それじゃあ、失礼します…!
あ、僕のことはマスコミには言わないでくださいね。
なにもしてませんし、病院まで押し掛けられたら困るので。」
そう言って、僕は会場を後にした。
車に乗り込み、施設まで佐那斗君と2人きり。
「全く、高校2年生とは思えないほど大人びてるんだから…。
ていうか、大人びすぎ!
少しは子供らしくしなさいっ。」
「アンタが子ドもっぽすぎんだろ。
どーやったらこんな綺麗なまま育つのか、俺が知りたいね。」
「…僕の親の息子だったら自分はこうはならなかったと思ってるでしょ。」
「さぁな。」
「それは違うよ。
両親は僕にはなにも関係ないさ。
君だって同じだよ?佐那斗君。」
「俺がこんなザマになったのは俺のせいとでも言いたいんだろ。
所詮アンタもアイツらと変わんねぇな。」
随分と分かりやすく、失望されたもんだ。