〔B L〕朽ちた無花果
ガラッ
僕の努力虚しく、なんとも最悪のタイミングで診察室の扉が開いた。
「…これはこれは、丁度良いときに来たな。」
「あぁ?
アンタ誰。
俺が今診察中なんだけど。
…もしかして、上がってきちゃうってコイツのこと?」
あぁもう最悪だ~…!
「…ふぅん、俺の姿が見えたからこの子帰そうとしたんですね、晴さん。」
「晴、さん…?
コイツ、アンタの知り合いかよ。」
だから嫌だったんだ、こんがらがっちゃうから…!
「知り合いもなにも、君が名刺くれたんだろ?」
「アンタ、まさか…」
「こんにちは、ボク。」
マヤさんはスルスルと変装を解いていく。
ていってもサングラス外して帽子とるだけなんだけどね。
「馴れ馴れしいなアンタ。
晴さん、なんて呼んじゃってさ。」
「君に名刺を貰ってから一週間くらいかな?
十分な時間だったよ、名前呼びをするには。」
そんなこと言って、マヤさん1度しか来てないじゃないですか!