〔B L〕朽ちた無花果
答えを相手に求めるのは、相手が望む自分になろうとするから。
「…升也さん。
この診察室には、ちょっとしたお約束があるんです。
決して嘘を付かないこと。
言いたくないことは言わなくていいんです。
だから、嘘を付く必要もないんです。
喋らなきゃいいんだから。
ここは貴方と僕の2人きりです。
だれも、監視なんてしてませんよ。
僕のことは、少しずつ信用していってくれればいいなぁと思ってます。
すぐにどうにかしようとしなくていいんです。
ここで過ごす時間は、安らぎをもたらすためにあるんですから。」
「…晴さんは、スゴいなぁ~…。
意外と鋭いんですね。
俺てっきり晴さんは鈍い人だと思ってました。」
「ははっ、僕は精神科医ですよ?
鈍かったら、患者さん救えないじゃないですか。」
「……そうですね。」
「だから、ここでは本音で話していいんですよ?」