〔B L〕朽ちた無花果
僕にはその気持ちが痛いほど分かる。
「授業参観かぁ、僕見に行ってみたいなぁ!
行ってもいいかな?」
「…!
別に、アンタが来たいならくれば。」
ふふっ、可愛いなぁ。
「わかった、行くよ。
有給がたまりにたまってるから、たまには使わないとね!」
「…明日、一時半からだから。」
「学生服姿の佐那斗君、とっっっても楽しみにしてるね!」
「ハイハイ。」
佐那斗君はあきれた顔をして診察室を出て行った。
佐那斗君にとって僕は、きっと周囲の人間の中で一番マシな奴なんだと思う。
だから、僕を頼ってくれる。
それはとても嬉しいことだ。
そして、佐那斗君にとってもとても良い事。
第二号を生み出すわけにはいかないからね。
佐那斗君が望むなら、何だってする。
だって僕と同じだから。
だからこれ以上同じ道はたどらせない。
安心してね、佐那斗君。
僕が、守ってあげるから。