〔B L〕朽ちた無花果

…っていやいや、有り得ない有り得ない。
なんで俺がコイツなんか。

「恋じゃない。」

「え?」

「絶っっっ対恋じゃない!」

「う、うん…?」

なんでそんなに強く否定するんだろう、もしかしてよくないこと言っちゃったのかな。

って顔に書いてある。

…フン、分かりやすいにもほどがあるよ。

「アンタってホント、分かりやすいよな。」

その上バカで、お人好しで…
呆れるほど、綺麗な人間。

俺が腐ってから出会った人間の中で、多分一番信用してる。

それは俺にも分かってる。

でも、それでもまだ、分からない。

俺の秘密を話したら、コイツはあの目で俺を見るんだろうか。

嘲笑の目。
蔑みの目。

哀れみの目。

…そうして俺を慰めて、自己満足して離れていく。

皆そうだった。

アンタもそうなのか?
< 54 / 79 >

この作品をシェア

pagetop