〔B L〕朽ちた無花果
「アンタにとって俺は、患者の1人だ…ッ、だから、そんなにっ…!「それは違うよ!」
晴さんは体を離して、大声を上げた。
晴さんが、怒鳴るなんて…
「…っあ、怒鳴ってごめん。
確かに、他の患者さんにも元気になって貰いたい。
だけど、佐那斗君にはそれ以上に…幸せを、取り戻して欲しいんだ。」
…そうやってまた、困ったように笑う。
「…どうせ、アンタとっくに知ってんだろ、俺のこと。
それでいて、俺から話すのを待ってる。
…どうしてそんなに優しいんだ。
どうして…っ!」
「……僕も君と同じだから。」
「同じ…?
っじゃあもしかしてアンタも「懐かしい顔だな。」
…っ!?
背後で声がしたと思ったらそれはうちの学校の保険医だった。
確か、名前は…
「もしかして…、たか君…?」
あぁ、そうだ。
高遠 裕吾、だった。
「久しぶり、ハル。」
「なんで、ここに…」