〔B L〕朽ちた無花果
«裕吾side»
久々に見た顔だった。
白い肌に、猫毛の強い髪。
すべてが綺麗で汚れていない、昔とは大違いの顔。
…安心した。
今は無事のようだな。
「…あれから、どうしてた?」
「っその…」
苦しくて、辛くて。
それで、お前は逃げ出した。
そんなの分かってる。
ただどうして俺に頼らなかった?
俺は…そんなに頼りなかった?
「俺に助けを求めればよかったのに。」
「…できないよ。
だって、そんな事をしたらあの人は君を傷つける。」
「そんなのッ…!」
そんなの、どうでもいい。
どうでもよかったのに…!
「…あのロクデナシは、死んだのか?」
「…分からない。
たか君も、知らないんだ…」
「あぁ。
お前が消えた後、すぐにアイツも消えたからな。」
何があったんだよ。
お前は消えた後、何をしてたんだよ。
…生きていくために、中学生のガキがたった1人で。