〔B L〕朽ちた無花果
「…。」
あれ、返事が聞こえないんだけど…
「今日は随分とご機嫌だな。」
「えっ、どうして…」
「いつもなら、“そういう恥ずかしいことを言わないでください!”って顔真っ赤にしながら言うのに。
あ、顔は真っ赤だけどな。
いや耳と首も?」
「昨日佐那斗君の参観会に行ったんです!
佐那斗君がお知らせしてくれて!
いやあ、制服を見たら青春時代を……」
《次はここに行け》
《もっとウマくできねぇのかよこのカス!》
《使えねぇなぁまったくよぉ》
《さっさとヤってこいよ》
「…?晴!」
「…っあぁ、すみません、なんだか…
ぼーっと、してしまって。」
「おいおい疲労で倒れるとかやめてくれよな…?
俺が心配するだろ。」
心配…される資格なんて、ないのに。
「ありがとう…ございます。」
「晴って時々そういう顔するよなー。」
「…っえ?」
「“なんか背負ってます”って顔。」
ズン、と。
心臓を、ナイフで突き刺された気がした。