〔B L〕朽ちた無花果
いやいや、紅一点ってことも…
「その中でもマヤはダントツ人気。
顔は整ってる方だからな。」
「ってことはマヤってもしかして…」
「男だけど?」
………。
ワァァァァアアアアアアアッ…
佐那斗君がそう言った瞬間に、歓声が沸き起こった。
「その顔じゃ女だと思ってたみたいだね。
ほら、あれがマヤ。」
丁度ステージに出てきた三人のうち、真ん中の赤い服を着た男の人を佐那斗君は指差した。
「…そりゃ193㎝あるわけだ…。」
勘違いとは、全く恐ろしいものだ。
『皆さん、今日は来てくれてありがとうー!』
『俺達の歌、聞いていってくださいね!』
『じゃあまずは1曲目____』
~♪~♪~♪
曲が流れると、佐那斗君の表情はいつになく、穏やかだった。
それもそうだろう。
だって、この声は、この歌詞は…
自分がここにいてもいいんだって、存在を認められているような…、そんな、歌だから。