君との約束


病室に入るとミヤビの両親とお姉さんの他に彼氏さんまで居た。

俺は、ミヤビに近寄った。
ミヤビは、俺を見ると安心したような顔をする。

「私達は、席を外すわね?」

「ありがとうございます」

「なんか、あったらすぐに呼んでちょうだいっじゃあ」

俺は、頭を下げてミヤビの横にある椅子に腰を掛けた。

「大丈夫か?」

ミヤビは、すこし微笑んだ。

「大丈夫っ今回は少し頭痛が酷くて倒れちゃっただけよっ」

「そっか……」

少し話した後病室を出た。
病室の前にある椅子にミヤビの両親が腰を掛けていた。

「送っていくよ……話もあるし…」

「はい、ありがとうございます」

俺は、緊張気味で車に乗り込んだ。
重い空気。

「裕太くん、ミヤビと別れて他の人とお付き合いした方がいいんじゃない?」

「え?」

お義母さんのほうがそう言いながら俺の方を向く。
とても寂しそうな瞳。
今にも泣き出しそうな声。
無理に作った笑顔。
俺は、そんな顔を見て何も言えずにいる。

「ミヤビ……あなたと出会って変わったわ…前より元気になった…明るくなった。すぐに、分かったわ…彼氏ができたんじゃないかって……」

そうだったのか……。

「ありがとう。だから、考えておいて…ミヤビとの、別れること…」

家について俺は答えを出さないまま車を降りた。

「ありがとうございました。」

俺は、軽く頭を下げて去っていく車を見つめた。

ミヤビと別れる………。
そんなことできない。

ミヤビは、今一番大変な時。
そこに、俺が別れを告げたら?
ミヤビはどうなる?


無理だろ…………
そんなことできない。


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