恋する左耳は、嘘がつけない
さて、そんな三年も好きな相手、日向くんがわたしの左隣になった。これは重大な問題だ。


だってつまり、左向きの横顔が見えるわけで。

わたしの左耳が、日向くんの目が届く範囲にあるわけで。


……耳、どうしよう。


日向くんの隣に座っていて、このすぐに赤くなる左耳が赤くならないはずがない。


というか今の時点ですごく熱い。絶対絶対赤くなってるよね、これは。


本当お願いだからっ、勝手に告白しないでわたしの左耳……!


泣きそうな気持ちを抑えて平静を装い、とりあえず、おろしたままの髪を手ぐしで整える。


つとめてさりげなく手を動かしたつもりだったんだけど、日向くんは首を傾げた。


「左京さんってさ、俺来ると髪おろすよね」


ばばばばれてた。三年間も一緒なんだからさすがにばれるものだろうか。


か、髪触って不衛生だと思ってるとか……!? もしそうだったら泣く。言い訳をさせてほしい。

ごめん、わたしの左耳が勝手に告白するのが原因で、なんて言えはしないのだけど。


「そうかな」

「そうだよ」


そんなことないよ、と言ってみたけど、誤魔化せているとは思えない。
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