マスク男子
その名前を聞いて確信する
郁くんだ
なんか、全然雰囲気違うけど…
目元に名残がある
私はスッと席を立つ
「えっ、ちょっ…真妃ちゃん!?」
サキちゃんが私を止めようとしてる
クラスのみんなも慌てている
それでも私は止まらない
ゆっくりマスク男子生徒の前に行く
「…あの」
私が声を掛けると、一瞬だけ私を見た
でも、すぐに視線を外された
「…郁くんだよね?」
私が問うと、男子生徒の方がピクリと動く
「…俺に近づくな」
男子生徒はそう言って席を立って、教室から出て行った
呆然と立ち尽くす私
それを心配するクラスメイト達
みんなが"大丈夫か?"と聞いてくる
でも、そんな声は私には届いていない
見つけた
やっと会えた
私の王子様!!