マスク男子

「あ、本当だ…人居ない。なんで?」


池に着くと、さっきの人混みが嘘のように人気のない

そりゃそーだ…


「ここからじゃ花火見れないからね」

「え?そーなの?」

「打ち上げ花火は見えるよ。でも、仕掛け花火はここじゃ見れない」

「そーなんだ。まぁ、でも…打ち上げ花火が見えるならいいや」


そう言いながら真妃は近くのベンチに座った
俺もその隣に座る


「ごめん…見たかったよね。仕掛け花火」


今更ながら思った
我慢できなくて連れ出しちゃったけど…
真妃は花火が見たかったんだよね…

少し後悔した
でも、真妃は笑う


「ううん、郁くんと来れただけで嬉しいもん。郁くんは人混みツライのに来てくれた。私はそれで十分だよ」


真っ直ぐな言葉に俺の心臓が跳ねた
あぁ、本当…好きだな…

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