さよなら、先生
「先生はこんな裏庭まで来て、ボーっと何してるんですか?」
「ボーっとって…。そんなにボーっとしてたか?」
「はい」
「そっか…」
「………?」
驚いた表情を私に向けてきた先生にコクンと頷くと、何となく先生の顔に朱が灯ったように感じた。
夕焼けのせいで元々先生の顔が赤く見えたから気のせいだと言えば気のせいのような気がするけど…
それを見て何となく嫌な予感がした。
だからこれ以上先生と話しをしていたくなくて、もう帰りますと言おうと口を開いた。
しかし…、
それよりも先に、先生の薄い唇が開いてしまった。
あ、嫌だ。
聞きたくない---
そう思った時にはもう遅かった。