嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
行為に疲れ果て、眠ってしまったらしい。ベッドサイドの時計の針は9時過ぎを指している。
身体を動かそうとすると、背中からお腹に回された腕と絡まされた足に自由を奪われていた。
素肌に感じる他人の体温が、身体の気だるさが、さっきまでのことが現実だと教えてくれる。
わたしのベッドはシングルだし、狭くてきっと寝苦しいだろうと思い、そっと絡まった腕と足を外してベッドから降りようとした。
なのに腕を強く引かれ、またベッドに引き込まれる。しかも今度は向き合って胸の中に閉じ込められるように。
ツルリとした硬い胸に顔が押し付けられて恥ずかしさが怒涛のように押し寄せる。
「・・・・・・・・・・どこ行くんや」
池上くんはすっかり関西弁になってしまっているのに気が付いているだろうか?
「しゅに・・・・・んが狭いかと思って・・・・・」
胸から顔を離されて、池上くんが目線を合わせてきた。
「身体は?どっか辛いとこないか?」