嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
「な、ないです」
「ん。ならいいや」
そう言うとわたしの額に唇をつける。
池上くんが蕩けそうなほど甘い。髪の毛を後ろに撫で付けるように梳かれ、顔の至るところにキスの雨が降ってきた。
「しゅ・・・・・しゅにん!」
わたしの髪を耳にかけて、唇が寄せられる。
「千雪」
囁くように耳元で呼びかけられて身体がアイスクリームのように溶けていくような気がした。
「お・・・・・お腹空きましたね。なんか簡単なものでも作ります」
「・・・・・あ、すき焼きの用意買ってきたんやった」
「さっきの・・・・・?」
「お前、よく寝てたし鍵を借りて行ってきた。携帯にメッセージ入れといたぞ」
「・・・・・全然気付いてなかったです」
それどころか眠ってしまったわたしに呆れて帰ってしまったと思ってました。
何も身につけていないことにはたと気付き、目で自分の服を探すとベッドから少し離れたところに投げられている。