嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


「修って呼んで、千雪」

頭の上から聞こえる甘い声。

「あ、え・・・・・と」

「呼ばないと擽る」

そう言うと脇腹に指先が当てられた。

「や、やだ!やめて」

指先がゆっくりと動き出す。

「呼んで」

「しゅっ・・・・・修・・・く・・・・・ん」

「うーん・・・・・ま、合格かな」

頭のてっぺんにチュッと音を立ててキスを落とし、機嫌よくリビングに戻って行った。

なんだろう。
どんどん池上くんが甘くなっていく。

10年前も今も好きですって伝えてもいい?

わたしは好かれてる?
わたしは大切な存在にしてもらえる?

心が現実を受け止め始めて、じわじわと温かくなっていく。

鍋の用意を終えて、向かい合わせで座るけれど、何となく照れくさくて下を向いた。

「千雪」

「は、はい?」

緊張して声が裏返る。

「我慢できなくて先に身体の関係になったけどちゃんと大事に思ってるからな」

「・・・・・・・・・・あ、はい」
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