嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
声を抑えようとする千雪。
だんだん上気していく頬。
徐々にうっすらとピンクに染まっていく華奢な身体。
夢中で千雪に溺れていく。
反応がぎごちなくて、まさか初めてかと少し嬉しくなり千雪に問うと違うと返され嫉妬した。
やっと手に入れた愛しい存在に可笑しいくらいオレは有頂天だった。
誰にだって、大声で千雪の所有権を主張したい。だけどじいさんに知られるのだけは嫌だった。
あの年寄りは社内の女の子とオレが付き合っていると知った途端、面白がってオレだけじゃなく千雪にも絡んでくるに決まっている。
だから社内ではオレたちの関係を内緒にして欲しいと千雪に頼んだ。
文句も言わず了承してくれた千雪の、どこか寂しげな笑顔にこのときのオレはほんの少しも気付いてやれなかった。